中国で見上げた、天井いっぱいの木手元
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9月も後半に入りました。
日中にはまだ夏の名残がありますが、夕方になると、少しずつ日が短くなっていることに気づきます。
季節が進むのを待つように、傘づくりの途中にも「待つ時間」があります。
今回ご紹介するのは、その待っている最中の一枚です。
写真を撮ったのは、弊社代表の中嶋。数年前に中国を訪れた際に撮影したものです。
天井から、曲線を描いたものがずらり。
奥まで続き、数えようとしても、おそらく途中で諦めます。傘に関係する写真だと知らなければ、少し不思議な現代美術の展示にも見えるかもしれません。
中嶋から聞いた話によると、ここに吊るされているのは、加工された傘の木製の持ち手です。
傘の持ち手は「手元」と呼ばれ、その中でも木で作られたものを「木手元」と呼びます。この写真は、加工した木手元を天井から吊るし、乾燥させているところなのだそうです。
一本なら持ち手、これだけ並ぶと景色
傘を見るとき、最初に目に入るのは生地の色や柄ではないでしょうか。
けれど、傘を使う間、手が触れ続けているのは持ち手です。傘を閉じて持ち歩くときにも、自然とそこを握っています。
完成した傘に付いている木手元は、ごく当たり前の部品に見えます。しかし、取り付けられる前の姿だけがこれほど並ぶと、急に存在感が増します。
一本なら持ち手。これだけ並ぶと、もうひとつの景色です。
同じような曲線が規則正しく続いていますが、よく見ると、木の色合いや形にはわずかな違いがあります。
傘になる前でありながら、すでにそれぞれの表情があるようにも見えてきます。
傘になるまでの、静かな待ち時間
店頭やオンラインショップで目にする傘は、もちろん完成した状態です。
生地が張られ、骨が組まれ、持ち手も取り付けられています。そのため、ひとつの部品だけが、これほど大量に並んでいる様子を見る機会はほとんどありません。
この写真の木手元は、まだ雨をよけることはできません。誰かの手に握られることもなく、天井から吊るされて、乾くのを待っています。
傘は一本ずつ使うものなのに、作られる途中では、こんなに大勢で過ごす時間があるようです。
数年前、中国で中嶋が見上げたこの光景。
やがて木手元は天井から下ろされ、それぞれ一本の傘の一部となり、どこかで誰かの手に収まります。
今はまだ、傘になる少し前。
木手元が静かに順番を待っている、傘づくりの途中の風景です。